予約していた席と違う?
少し回想してみよう。予約した時のことだ。
「・・・個室って無いですよね?」
「申し訳ございません、個室は無いです。」
「そうですか、でしたら端の席が良いのですが、お願いできますか?」
「かしこまりました、では入り口から一番離れた席をお取りしておきます。」
確かこのようなやり取りだった。
ところが案内されたのは、ちょうど真ん中に位置する席だった。イメージとしては【∟】のような配置の、線が交差しているところ。かなり特殊な配置の店だった。これでは他のお客さんが来たときになんだか気まずい。
咄嗟に私は店員さんに告げた。
「すみません、あっちの席へ移動できますか?」
そう言って入り口から一番奥の席を指差した。
「はい、いいですよ。」
そう言って席を移動してもらった。このほうが隣に会話を聞かれにくいし、良いだろう。電話で伝わらなかったのだろうか?伝わっていれば最初からこっちの席にするはずなのだが・・・
「ともこさん、どうぞ。」
そう言って壁側のソファー席を勧め、私は反対側の椅子に座った。まずはメニューを見て料理を決める。ランチは3つのコースがあり、とても分かりやすいものだったため、お互いすぐに決まった。