溢れる想い、抑えられない衝動
・・・このまま通常であれば後は別れて帰るだけ。次のデートの約束も取り付けてある。でも、この溢れる想い、衝動は抑えることができそうになかった。もう考える余裕もない。
「ゆうちゃん、ちょっとだけいいかな?」
そう言って外へ出るように促す。
「えっ?何ですか?」
少し怪訝な表情を浮かべたものの、素直に外へ出てくれた。
自分の頭の中ではこの後何を話そうか、既に順序立てて構成されていた。良いのか悪いのか、確認せずにはいられなかった。ゆうちゃんはさすが疲れている様子、手短に話さねば。
「今更なんだけど、ゆうちゃんの名字って、その・・・もしかして元旦那さんの名字なのかな?車内で子供たちが喋っているの聞いてて、なんとなくそうかなって、気になってさ。」
「ええ、そうですよ。言ってませんでしたっけ?別に気になった時に聞いてくれれば良かったのに。気になります?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど確認しておきたくて。」
「あと、・・・」
そう言いかけたところで子供たちが車内から外へ出てきてしまった。2人きりで話す機会がなかなか無いし、子供の前では話せないことだからと思っていたが、子供にとっては理由もなく車内に取り残されたのでは、気になって飛び出してきてしまうだろう。