愛ちゃん
すぐさま返信がきた。やっぱり電話には出たくなかったようだ。
「腕を掴まれたことが怖かったです。他は気にしていません。」
そうか、あれがいけなかったのか。
しかし帰り道の沈黙といい、真意が分からないというのが正直な感想だった。
「怖い思いさせてゴメンね。もう一度ちゃんと会って話したいので、どこかでお話する機会をください!連絡待ってるね。」
・・・ところがこの日、返信は無かった。
次の日もずっと連絡はなく、仕事もはかどらなかった。しかしこちらとしてはもうどうすることもできないので、ただただ待つ。そして夜、ラインがきた。やっときたかと安堵する一方、どこかで諦めに似た境地で携帯を見る。
「としおさん、やっぱりごめんなさい。」
覚悟はしていたが、やはり悲しかった。焦燥感や悲壮感は昨日通り越したため、今日は単に結果を受け止めるだけだった。
あの「腕を掴む」という行為が無かったら?とも考えたが、遅かれ早かれ上手くいかなかったように思える。いや、そう自分に言い聞かせているだけなのかもしれない。
とはいえ自分の性格上、キチンと返さないと気が済まないので、返信をした。内容はこれまでのお礼と、怖い思いをさせた謝罪。当然、この後返信は無かった。
複雑だったが、前を向いて進まなければならない。一つキリをつけて、今回の経験を糧にしなければ。久々の恋愛を噛みしめながら、こんなんだったな~と思い浮かべ苦笑いしてしまう。
さあ、また次への一歩を踏み出そう!
そうしてまた一から婚活を開始するのだった。