さやさんとお見合い⑥
「そうなんですね。私も高校までは地元にいたので似ていますね!部活は何やってたんですか?」
「大学の時にワンダーフォーゲル部に入ってました。といっても部活!っていうよりワイワイしている同好会みたいなもんだったんですが(笑)」
そう話すさやさんはとても楽しそうだった。あまりそういう活動に縁が無かった私にとってはとても興味深い話で、しばらくその話を聞いていく。
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「あの頃は一番楽しかったかもしれませんね。山に行って見る景色とか最高ですもん。」
少し淋しそうにさやさんは呟いた。自分もそうだけど、学生時代、特に大学生の時っていろいろ充実していて楽しかったな。勉強、友達、恋愛、趣味、バイト、良い思い出ばかりが次々に浮かんでくる。
そんなことを思い浮かべていると、
「としおさん?どうされました?」
さやさんに心配されて聞かれてしまった。
「あ、ああゴメン。さやさんの話聞いてて、大学の時って楽しかったなって。」
「ですよね。もう戻れないですけど、良い時期ですよね。」
少ししんみり、いや、余韻に浸りながらコーヒーに口をつける。