天使と悪魔のせめぎ合い
帰りの車の中は行きよりも賑やかだった。遊園地の興奮が抑えられない子供たちはテンションが高く、今日体験した出来事を思い出しながら「○○楽しかった~!」などと盛り上がっている。
私も同じように体験を共有し1つ1つ思い出しながら、本当に楽しくて良い時間だったなぁと感慨に浸っていた・・・ただ、先程から感じている「何か」が少しずつ大きくなってきていた。
それは紛れもない、焦りという名の「結果」だった。頭では分かっているはずだったのに婚活期間が長いせいもあってか、何かしらの結果・成果を出したいという思いがここにきてこみ上げてくる。
「まだ子供たちと会ったばかりだよ?十分じゃないか」
という天使の声と、
「次いつ会えるか分からんよ?受け身じゃダメだ」
という悪魔の声が頭の中で交錯する。
「・・・おくん?、としおくん!?」
ボーっとしていたのだろう、眼前でれんくんが顔を覗き込んで呼んでいた。
「あっ!ごめんごめん、なんだったかな?」
「これ見て?ほら、かっこいいでしょ?」
そう言ってお気に入りの恐竜図鑑を指差す。するとひなたくんも助手席から後ろを覗き込んで、何やら渡してきた。
「としおくん、これ」
嬉しそうな顔をして渡してきたのは、お菓子?の箱だった。
「えっ?もらっていいの?」
「うん」
「ひなたが、としおくんに買いたいって選んだんです。トイレに行っている間に買ったんですよ(笑)」
ゆうちゃんがそう付け加える。これは素直に嬉しかった。ひなたくんが自分の意思で私のために買ってくれたもの。とても温かな気持ちになり満たされていくのが分かった。