趣味という名の赤い糸
そんなある日、アニメやゲームの話をしていた時に驚いたことがあった。
「・・・そう言えば、ゆかりちゃんの名前を聞いた時、昔やってたゲームのことが真っ先に浮かんじゃったよ(笑)」
「えっ?そうなんですか?もしかしてときメモ?」
驚いた、まさかゆかりちゃんの口から【ときメモ】というフレーズが出るとは。確かにときメモは90年代を代表する恋愛シミュレーションゲームで、結構社会的ニュースにもなったので、知名度はあるほうだろう。
とはいえ知らない人のほうが多いだろうし、ましてや【ゆかり】というキャラクターはゲームをプレイしていない限り知らないと言っても過言ではない。
更には男性ならまだしも、女性でプレイしているとなるとこれはもうごく少数。一瞬のうちにこのような考えが頭の中を巡り、驚きを抑えられず言葉を発した。
「えっ!ゆかりちゃんときメモ知ってるの!?そうそう、ときメモ!」
「古式さんですよね~私、結構やってましたから(笑) ちなみに一番好きなのも古式さんなんですよ~」
「古式さんいいよね。俺は館林見晴ちゃん推しだったけど。それで・・・」
と、まさかのときメモ繋がりで更に話が盛り上がった。
はっきり言ってこれは奇跡に近い。この歳になってまたときメモの話ができるとは・・・当時は周りに数人やっている人がいたけど、大人になった今、彼らとときメモの話をすることはない。
少し前に話を振ってみたことはあるけど、ほとんど彼の記憶からは消えていて、なんとなく淋しい気持ちになったものだ。