次に訪れたのは服屋さん
お腹も満たされて意気揚々と街へ繰り出す。
特に目的も決めずに歩き出したが、ゆかりちゃんが早速反応する。
「あっ!この店寄っていいですか?」
その店とは服屋さんだった。
女性ものなのでついて回るだけだったが、ゆかりちゃんは嬉しそうにいろいろ見たり当てたりしている。
「これなんてどうですか?似合ってますかね?」
「うん、春っぽくていいんじゃないかな。」
女性の服選びに付き合うなんて何年ぶりだろう。
あまり長いと疲れてしまうのも男の性と言えるが、やはりこういうのはカップルっぽくて嬉しい。一生懸命服選びをしているゆかりちゃんを微笑ましく見ていた。
「としおさんはどちらが好みですか?」
そう言って2つの服を私の前に差し出す。
「うーん・・・こっちかな?」
爽やかな色の可愛い服を指差す。
するとゆかりちゃんは即座に、
「じゃあこっちにしよっと!」
とレジへ服を持っていった。
再びあてもなく歩き出しながらも、いろんなことを話し始める。
正直これまでの毎日の電話で、お互いのことは随分と話しているつもりだ。私のこと、ゆかりちゃんのこと、子供のこと、学生時代、仕事、恋愛、結婚、離婚、趣味、住んでいる街、未来・・・
そういったことも特に意識せず気軽に話せるようになっていて、少なくとも私はゆかりちゃんのコトを全面的に受け入れられるようになっていた。価値観も似ている。