カップルに見える?
「昔はよくこの辺にきてたんだよ。もう随分前だけど懐かしいな~」
「私も若い頃はよくきてました。としおさんもきてたんですね。」
この辺り一帯は、この地域では若者が多く集まるいろんなお店があるところだ。とはいえ老若男女、様々な世代の人が行き交う素敵な街。
「大学がこっちのほうだったからね。あんまり変わってない気がするよ。」
「もしかしたらニアミスしてたかもしれませんね(笑)」
そう言ってゆかりちゃんはにっこり笑う。
そうこうしているとランチが運ばれてきて、ゆかりちゃんはマスクを取った。
・・・顔全体を見てもやはりタイプだ。思わず見惚れていると、
「としおさん?どうかしましたか?食べましょう!」
「ああ、ゴメンゴメン、食べよっか。」
ランチはもちろん美味しかったけれど、それは正直どうでも良かった。ただただこうやってゆかりちゃんとランチを食べられる、隣同士で楽しく談笑できる、その時間がとても愛おしく素晴らしいことに感じられた。
「あ~美味しかった!じゃあこの辺りのお店行ってみよう。」
「そうですね、私も久しぶりだから楽しみです。」
店を出て連れ立って歩き出すと、周りにはたくさんの人が歩いていた。さっき言ったとおり、老若男女、様々だ。その中にはもちろんカップルもたくさんいる。
「ふふ、私達、カップルに見えますかね?」
!?そういたずらっぽく話すゆかりちゃん。
思わずドギマギしてしまうが、きっと他からもそのように見られてるんじゃないかな?そしてそうなりたい。まだ初めて会ったばかりなのに、そんなことを妄想していた。