肝心な初対面での失態
約束の時間が迫る中、ふいに改札の方へ目をやると・・・すぐに分かった、ともこさんだ!白いコートに赤のバッグ、写真のとおりで可愛らしい小柄な人だった。ともこさんもこちらに気付いたようで、緊張した面持ちでこちらに向かってくる。
「ともこちゃんですか?とるてです、とるてこと、としおって言います!」
その瞬間、ともこさんの表情と動きが固まったのが見てとれた・・・なぜだろう?頭の中をもの凄いスピードで考えが駆け巡る。しまった!舞い上がって「ともこちゃん」と言ってしまった!
「は、はい、そうです。としおさんって言うんですね。よろしくお願いします。」
どこかぎこちない感じでそう答えたともこさんは、少し身構えているように思えた。これは初対面というだけでなく、間違いなく馴れ馴れしく話しかけられたことに起因するものであろう。
しかし言ってしまったものは仕方がない、ここから挽回せねば。
「今日はよろしくお願いします。早速お店へ向かいましょうか?」
「はい、よろしくお願いします。」
最悪のスタートとなったデート。しかしメッセージのやり取りのように話すことができれば大丈夫のはずだ!そう自分に言い聞かせながら、ともこさんと駅を出た。